単館(なのか?)レイトショーのアニメ映画ですが、非常に面白い作品です。ただし、猟奇シーンがリアルな描写なので、その手の映像が苦手な方は避けた方が無難です。
【ストーリー】
「行こう、行こう、行こう、行こう――」
私はただ望んだだけ。
この窓の外の世界を。
彼に連れて行ってほしかっただけ。
それは、少女達の飛び降り自殺が相次いだ夏の終わりの物語。彼女たちは、突発的に廃墟と化したビルの屋上から空へと踊る。そして落下。待っているのは死。
学校も異なり、互いに交友関係もなく、一切の関係性と自殺の理由も見いだせぬまま不可解な自殺事件として報道されるなか、唯一、その関連を見いだした者がいた。
最高位の人形師で魔法使いになれなかった魔術師の蒼崎橙子、その人である。
むしろ、「理由がない」ことが共通点だ、と。
そして、浮遊と飛行の相違。
この連続自殺事件の捜査に乗り出したのは、万物の生の綻びこと死線を視る力「直死の魔眼」を持つ両儀式。
彼女には、この事件に関わらざるを得ない事情があった――。
望まぬまま得た力により、虚空に舞う少女たちの幽霊をその瞳に捕らえる式は果たして、なにを思うのか。
たとえば、それはともすれば同じ道を辿っていたかもしれない同胞への哀れみ、または同族嫌悪。
たとえば、それは大切な存在を危うくする者への敵意。
あるいは、実に明確な殺意。
そんなものがないまぜになったまま、式は痛ましい現場となったビルへと向かう……それが、幾重にも張り巡らされた罠への序章にすぎないことも知らずに。
第一の事件。第一の駒。その先に待っているのは無限螺旋。今、終焉に向けすべてが動きだす。
(公式ホームページ(http://www.karanokyoukai.com/)より引用)
【感想・・・壮大な物語への入口を感じさせます】
実は、小説を先に読みました。これが映画になると聞いて楽しみにしたのですが、レイトショー(しかも少数館)ということで、DVDになるのを待ちました。
やっぱり、映画館で見た方が良かったのでは…?と後悔させられる作品でした。
アクションシーンがきれいな作品は、やっぱり大画面で見たいものです。
この話は、連続飛び降り自殺から始まります。飛び降りた後の死体がリアル(とはいっても、本物には遠く及びませんが)に描写され、人によっては非常に嫌悪を覚える作品かと思います。まず先にそれを言っておかなければなりません。
ストーリーにもありますし、タイトルを見てもわかると思いますが、これは連続ものです。7部作になりますか。
とはいっても、これはこれで一つの事件が解決しています。
しかし、気になる伏線も大量に張られているのです。
「アサガミフジノの事件(敢えてカタカナにしています)」や、「あの人」というさりげないセリフがキーワードです。これが後に続いて行くのです。
ちなみにまだDVDは全巻揃っていませんし、実は7部構成の作品第6部が、現在(2008.12.20~)上映開始、という状態です。
全部揃ってから一気に見るのは少し疲れそうですが、おそらく見ると続きが気になるものだと思います。
ただし、この作品は謎解きではありません。犯人に関する情報は最後に提供されるので、誰のせいだ?と考えると面白くありません。が、人間模様を中心に鑑賞すると、面白いかと思います。
【評点…★★★★★(ただし-0.5)】元が小説なので、言葉遊びが面白い。
同じ意味がありそうな二つの単語に別々の意味(背景)を持たせたり、言葉が中心の作品です。しかし、最近のテレビにありそうなテロップの攻撃はなく、ちゃんとセリフの言い回しで思い浮かべるべき漢字がわかるようストーリーが練り上げられているところがさすがです。
ただ、連続ものの序章であるがために、この作品単体では意味不明な部分が多いのも事実で、作りとしては若干不親切なきらいはあります(もっとも、連続もの、と前提が打たれているので、そこは割り切れるものです)。
見る人によっては賛否が分かれそうですが、私はこういう作品が大好きなので、満点(単体作品としては4.5)をつけさせていただきました。
担当:逢川