【ストーリー等】
243歳のマゴリアムおじさんが113年前に開店したおもちゃ屋は、魔法の国に迷い込んだような不思議なできごとがいっぱい。それ故に、店を訪れた大人も子供も夢中になってしまう。
そんなある日、マゴリアムおじさんが引退をして、店の支配人(店長?)モリーに店を譲る、と言い出した。
魔法を使えないモリーは店を譲ることを固辞するが・・・?
【感想等 ~2時間弱では足りないか?または、それだけ?】
色々なことを詰め込んだ結果、全てを表現しきれていない節が随所に顕現している感想を抱いてしまいます。
おもちゃ屋の支配人、モリーは子供の頃天才ピアニストとして注目されたものの、今では自信をなくし、それでもピアニストの夢を捨てきれず、随所でピアノを弾いている指使いを行います。
劇中の音楽も、そのモリーの指使いに合わせた音楽が流れます。モリーの感情のブレによって曲調が遅くなったり、突然途中で止まったり・・・子供向け、と言う意味ではわかりやすさは満点でしょう。
人物対比も明確です。
マゴリアムおじさんは不思議を押し通してしまう魔法の達人、モリーは魔法を楽しむことが出来る大人(ただし、大人としての感覚が芽生えてきてしまっている弊害がでています)、会計士のヘンリーは、現実的な考えをする大人のため、不思議を真っ向から否定します。そして、エリック(店の常連の客にして店の手伝いをする9歳児)は、友達作りが出来ない子供で、考え方は一番ドライ。
明確な性格相違のため対立軸がはっきりしている点もわかりやすさを助長しています。
しかし、それだけです。
マゴリアムおじさんとシマウマが同居しているのですが、これといって劇的な効果がなく、単なる一発ネタの感がぬぐえません(とうぜん滑ってました)。
他にも、ここはウケを狙ったところなんだろう、という場所が何箇所がありましたが、誰一人笑う者はいませんでした(失笑すら起きませんでした)。
店を譲り受けた(無理矢理押し付けられた?)モリーが結局どうなるか、というのはこの物語のキモですので、ここでは言及しませんが、映画館で見る必然性はない映画です(特に緊急性もない)。
ただ、「死」の概念が非常に印象に残っています。
マゴリアムおじさんは「消える」と表現しています。その「消える」についての内容を、シェークスピアの「リア王」の表現を借りて説明します。そして、「死」がなぜ悲しいか、ということについても、説明しています。
ここが物語のクライマックスでした。ただ、これが中盤よりやや後ろ、という「早すぎる」演出であることは否定できませんでした。その後は、ダラダラした感がぬぐえません。
盛り込みたい部分が多かったのでしょうが、時間切れで無難にまとめました、というのがせいぜいでしょう。
それと、オープニングが長くてクドい!キャスト、スタッフの紹介なのでしょうが、あれでは始まる前から食傷気味になります。
【評点】
★★ DVDレンタル OR テレビで放映されるまで待っても問題なし
「リア王」の引用の下りは一見の価値ありです。そこは、マゴリアムおじさん役のダスティン・ホフマンの話し方に全てが込められているので、そこの部分だけはお勧めです。
担当:逢川